この写真、何をしているところだと思いますか?
Flickrに載っていた写真の説明を見てみると、
Army Guard Father, Son Fly Together
Army Chief Warrant Officer 5 Gary Button reads the pre-flight checklist as his son, Army Warrant Officer 1 Daniel Button, checks the gauges of the UH-60 Black Hawk helicopter.
ということで、離陸前のチェックリストをお父さんが読み上げているのだとか。
Flickrで "checklist" という単語で検索してみると、これ以外にもちらほらとチェックリストを使って確認している場面を写した写真が見つかります。
今回読んだ『
アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】』を読むと、このシンプルすぎるほどのチェックリストの威力を知ることができます。
著者のアトゥール・ガワンデ氏は外科医として活躍している他、クリントン大統領の選挙キャンペーンなどでアドバイザーを務めたり、この本にも関連する「安全な手術が命を救う」チェックリスト実施マニュアルを世界保健機関(WHO)のプログラムの一環として作成するなど、幅広い活動をしています。本書の他、『
コード・ブルー―外科研修医救急コール』などの著作も。
本書では、外科医としての著者の日々の問題意識に加え、先ほども書いたWHOでのチェックリストの普及活動、そしてそれを実施するにあたって参考にした航空機や建築現場、レストラン、そして投資などの現場でのチェックリスト活用実態を元にして、チェックリストの有用性を解説しています。
チェックリストというと、いかにもありきたりで、手術やフライトなどの人の生死にかかわるような現場で使って効果があるのか?と思う人もいるかもしれません。実際、自分もこの本を紹介してもらい、読み始めるまでは、どんな効果があるのかと思っていました。
冒頭で、著者は失敗の原因を「
無知」と「
無能」の2つだけだと説きます。「
無知」とは、その名の通り、知らないことが原因で失敗すること。一方、「
無能」とは、正しい知識はあるものの、それを正しく活用できなかったことが原因で失敗すること。このうち「無知」が原因による失敗は、近年の科学などの進歩により大幅に減ってきたものの、「無能」が原因による失敗が今まで以上に重要になってきているといいます。
そして、その「無能」が原因で起きる失敗に対処できるのが、本書のテーマであるチェックリストだというのです。
本書では、チェックリストというシンプルなツールに対する数々の疑問、例えば「そんな単純なもので効果があるのか?」、「チェックリストを使うことでかえって時間のロスにつながるのではないか?」、「チェックリストを導入することで自主性や柔軟性が失われるのではないか?」などに対して、著者自身の経験も含めたさまざまな現場での実例を元にその効果を説いていっています。
本書を読めば、チェックリストの大きな効果がわかると共に、その効果を得るためには、チェックリストを作成するだけではなく、それを導入し、検証し、改善していくというループをまわしていくことの大切さと難しさをよく理解することができます。
WHOのプログラムで作成された手術の際に使われる実際のチェックリストの実例や、本書の最後にも載っている「チェックリスト作成のためのチェックリスト」などは以下のサイトからも確認することができます。
・
Project Check
本書を読んで、実際に自分の仕事や日常でどのようにチェックリストを応用できるのか考えてみるのも良いかもしれませんね。
アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】アトゥール ガワンデ 吉田 竜

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